『ありふれた金庫 / 北野勇作』を読んだ感想

フラッシュフィクション短編集

最近、ブックオフで見つけた超短編集、『ありふれた金庫 / 北野勇作』を読んだ。
一作ものの数秒で読める、超短めのフラッシュフィクションをまとめた一冊。

個人的に気になった物語をいくつか。

鬼ごっこのためにひたすら肉体を鍛える。
もちろんただ鍛えるだけでは満足できず、徹底した肉体改造を行う。
角が必要だ。植える。牙が必要だ。植える。
皮膚の色は赤。変える。
そこまでやる。彼こそ、鬼ごっこの鬼だ。

圧政に苦しむ人々がついに時間を遡る技術を手に入れ、使者を過 去へ送り出すことに成功する。
多大なる犠牲を払って過去へ届けられたのは、
投票すべき候補者名と 選挙に行けというメッセージ。
何の役にも立たなかった。

彼らは空からふわりと一斉に落ちてきた。
景色は一変し犬は喜び猫は炬燵で丸くなった。
むろんそれだけで終わるはずもなく、やがてじゅるじゅる溶け始め、
靴の中にまで侵入してくるのだ。こんな侵略の仕方があるのか。

想像力を刺激する140時の物語。
ツイートの文字数でこんなSFみたいなものを書ける人の才能ってすごいなと。

今日はそんな感じで。
かわなみ

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