是枝裕和監督×坂元裕二
心待ちにしていた是枝裕和監督の新作映画『怪物』を観てきた。
カンヌ映画祭の脚本賞を受賞しただけあって、かなり練られたストーリー。
ほんとずっしり来る作品でほんとおすすめ。
ざっくり箇条書きで感想を。
レビュー・感想
ネタバレ注意なので、まだ観てない方はここから読まないように。
・公開翌日の土曜日ということもあり、大阪のTOHOシネマズ梅田は満員。注目度の高さよ。
・映画の『羅生門』や小説の『藪の中』の手法を使った
複数の視点を描いた作品で、海外ウケもよさそうだと思った
・学校の小道具(教科書やら掃除道具やら)
かなりリアルな作り。
・モンスターペアレンツのシングルマザー、といっても
あの状況を目にすれば、こうなってしまうのは仕方ない気もするし、
自分もあの状況ならそうなってしまうだろうな、と。
・シリアスなシーンでもユーモアを交えるそのバランス感も良かった。
・教師役、永山瑛太の演技も前半のヤバい先生から実は・・・という見せ方の違いもすごかった
・「豚の脳」
・「みなとは何に生まれ変わるかな?」という伏線の張り方もうまい、というか
ああ嫌だ、という方向にストーリーを向かわせていくのがさすが坂元裕二。
・チャッカマンと放火、誰かやったのか、
というのもストーリーを追うごとに錯綜する感じがとてもよかった。
・時系列はわりと複雑に絡み合うけど、
桜や台風など、日本独自の季節感で違和感なく見ることができた
・子役の二人がうますぎて怖いぐらい。
はみごにされる星川くんに対するみなとの対応とかもすごい。
・宮本輝の『泥の河』がふと想起されるような二人の仲。
・校長先生の「死んだ目」も生々しい。
・不協和音的な金管楽器のBGM、後半で意味がわかるのも良い仕掛け。
・トレイのいじめのシーン、ちょっと都合よすぎて脚本のために作られた感があって、
もうちょっと工夫できたんじゃないかと思った。
・アル中の父、中村獅童が出てきたときはふつーに笑ってしまった。
・「将来の夢」の作文に、何が書いてあったのかは気になるところ。
・同性愛、LGBTQ的な要素の取り入れ方も自然。
・「出発するのかな」の台詞よ・・・。
・ラスト、坂本龍一の「aqua」が流れるシーンはさすがによかった。
けっこうすすり泣きが聴こえた。
・あの晴れた草むらを、いつまでも駆けてほしいなと思った。
・・・そんな感じで。
いやーよかった。
『エブエブ』以来の大当たり、という感じ。
まだ公開したばかりなので、まだの方はぜひとも。
かわなみ
今日のよかったこと:
ひさびさにしっかり寝られた。
丸太町の気になっていたワインバー「バリオーレ」、
店主の女性のおすすめもかなりよく、お客さんとのまさかの出会いもあって
最高の日曜日の夜だった。