ハンケイ500mのインタビュー@Worksight

京都のローカル雑誌特集

たまに読んでる京都のローカル誌「半径500メートル」について、
WORKSIGHTというニュースレターで特集が組まれていたので軽く紹介。

「おもしろいやん」の連鎖から生まれる公共性:バス停起点のフリーマガジンから見る地域メディアのリアル
https://open.substack.com/pub/worksight/p/92

『ハンケイ500m』は、毎号京都にあるバス停をひとつ選び、そこから半径500mの円内をくまなく歩き、“まちの人”を発見して特集するフリーマガジンだ。誌面に登場するのは一般市民や地元企業で、読者もほとんどが地元民という地域密着型。創刊からまもなく14年目を迎え、2024年3月発売の最新号は78号目となる。KBS京都ラジオの番組「サウンド版ハンケイ500m」とも連動しているほか、大手企業や官公庁などとのコラボレーションも増えているという。

ローカル雑誌といえども、わりと名の知れた大企業とのタイアップ・コラボをしていてすごい。

とはいえ、情報が社会を不安定化させるという出来事はいまに始まったことではない。1999年発行の『メディア都市・京都の誕生:近世ジャーナリズムと諷刺漫画』(雄山閣出版)のなかで、著者の今西一は「ともするば商業ジャーナリズムのメディアにふりまわされている時代にこそ、この民衆がメディアの生産者であった時代をふりかえることが大切である」と述べ、“情報革命の時代”である21世紀の到来を控え、明治前期の京都に目を向けた。

明治時代の京都をメディア論的にみる、という結構コアな歴史に関する話まで。

創刊時より編集長を務める円城さんは、もともと関西にある出版社で企画営業・編集に携わっていた。その後、自分でフリーマガジンを発行するために起業。構想を練るなかで「足で稼いだ情報が掲載されている雑誌が世の中に見当たらない」と考え、『ハンケイ500m』が誕生するにいたった。雑誌名に含まれる“500m”は「自分が歩けると思った範囲」。起点となるバス停を選び、その周辺を歩き、「ピンときた」人に取材を実施する。

登場する人、みんな何かしらのこだわりがあるのを語ってくれるので、
ハンケイ500mは面白い。

「ここ3年くらいで強く思っているのは、みんなが幸せになるためには、多様な価値観があったほうが絶対にいいということ。わたしにはできないことを、イヤイヤでも脅されているわけでもなく、好きでやってはる人があまりにも多すぎる。それは、違う価値観をもっていらっしゃるからなんですよね。自分と違う価値観を、わたしはおもしろいと思う。そして、そのような価値観に出会う嬉しさとラッキーをみんなに伝えたい。もし『自分は人と全然違う』と思ってる人がいたら、『あなたの話を聞いてめちゃめちゃ幸せになる人がいるで!』と言いたいんです」

小説家・安岡章太郎は随想集『でこぼこの名月』(世界文化社)の引用もなるほどなと。

京都の町が落ち着いているのは、日本には珍しく減価償却を終わって遺産で食べている都市だからであろう。(中略)何でもない喫茶店や食いもの屋に入っても、建物や土地の償却をとっくの昔にすませているせいで、客の尻をセキ立てるようなことがないのは、他の大都市にはない特色だ。

そして、これを引用するかたちで、冒頭で紹介した『メディア都市・京都の誕生』で著者の今西は、京都を「ぜいたくさを肯定している町」と表現する。この「ぜいたくさ」の肯定とは、「おもしろい」を求める『ハンケイ500m』のまわりの人たちにも通じるものがあるかもしれない。円城さんによれば同誌のあり方は、京都には小商いが多いことも関係しているかもしれないという。

京都にいると、逆に他の県との違いに驚かされることが多いけれど、
やっぱり周りが変なんじゃなくて、京都が独特なんだなと気づくことが最近多い。

「小さい売上でもいいから、一般的な価値観とは違うものを求めてずっとやってる人が多いと思うんですよ。何百年も上場しないで同じ商いを続ける会社がごろごろあるじゃないですか。経済的にスタンダードな考え方とされるものが、いい意味で欠落している部分がある。そういう世の中の常識とは違う考え方が根付いているところがあるのが京都なんですよね」

長めのニュースレターだったけど、
面白いので興味のある方はぜひとも。

ポッドキャスト版の「サウンド版ハンケイ500m」は僕が教わった元教師の方がパーソナリティをされているので、そちらもよければ。

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