森博嗣のエッセイ「静かに生きて考える」が興味深い

連載エッセイ「Thinking in Calm Life」

BEST TiMESに掲載されている
作家・森博嗣(もりひろし)さんのコラムが面白いので軽く紹介。

「Thinking in Calm Life」のタイトルどおり、
ユニークな観点で「静かに生きる」をテーマに色々書かれてます。

いくつか印象に残った文章をざっくりと。

 

【アウトプットをさせない現代】

“ところで、世間を見回してみると、現代は容易にインプットができる環境が整っている。出かけていって探す必要もない。しかも安い。どんな分野でも幅広く、あらゆる作品に接することが可能だ。初心者向けの入門グッズなども充実している。今の若者は、とにかくインプットが楽しくてしかたがないだろう。そして、この飽食環境がために、アウトプットができなくなる。”

 

見るもの・読むもの・聴くものが溢れすぎて、
全然自分から発することがかなり少なくなってしまっている、というのはそうだよなぁ、と。

最近はAIが文章を作成してくれたり、
絵を描いてくれたりとSFの世界が現実になりつつあるこの頃。
受け身だけではなく、自分で作って愉しむ心は忘れないようにしたいなと。

 

【なにもかもがキットやパックになった】

“誰でも簡単に、しかも失敗なく完成させられるように、すべてが取り揃えられ、難しい部分は完成済みだ。なにも悩む必要がない。短時間で完成できて、アウトプットをしたつもりになれる。満足感もそこそこ得られるだろう。”

“問題は、このようなキットやパックが、フルセットのアウトプットといえるのか、という点である。本来のアウトプットとの差が著しい。はっきりいえば、冒険とパック旅行くらい差がある。雲泥の差だ。しかも、楽しさや満足度では、さらに格差が生じる。本人は気づきにくいのだけれど、組立て説明書のとおりにものを作る行為は、むしろインプットに近いものだからである。”

 

書かれているとおり、
旅行が特にそうだけれども、
モデルコース通りにいかないほうが面白いのが旅行の醍醐味。

みんなが満足するものをそのままなぞるよりも、
自分なりの道の歩き方をしたいなと。

 

【しっかりと思い出せなくても良い】

“思い出は、誰かが用意していて、そこから選ぶようなものではない。パンフレットの写真から見つけるのではなく、ショーケースに並んでいるわけでもない。そもそも、探して見つけ出すものでもない。なんとなく、自分の生き方を続けているうちに、自然に、そしていつの間にか、自分だけの引出しに仕舞われるものなのだ。”

写真やSNSに記録だけして満足というよりも、
その瞬間、瞬間を愉しむべき、という話。

 

森博嗣さんの本は『すべてがFになる』ぐらいしか読んだことなかったけれども、
他の作品もちょっと気になったり。

現代的な題の本が特徴的なので、
てっきり若い方かと思いきや、
65歳となかなかのお歳だったのにびっくり。

今回はそんな感じで。
興味ある方はエッセイを読んでみてください。

連載「静かに生きて考える

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