ノーベル文学賞受賞の日本人作家
日本文学を代表する大江健三郎が亡くなった。
ずいぶんお年なのは知っていたけど、
まだまだ精力的に自伝なども書かれていたのでずっと生きている人かと思いきや、
ネットのニュースで訃報を知り、驚きの夕方。
大江健三郎。
短編集はどれも刺激的で、
個人的に
アメリカ兵と少年の関係を描いた「飼育」
蛇を巡る戯曲的な「動物倉庫」
犬殺しを任される「奇妙な仕事」
右翼少年を描いた「セブンティーン」
辺りが好みで、なんども読んだなと思い
敗戦国としての日本、
アメリカコンプレックスな主人公、
陰鬱な戦後の様子
思わぬ展開。
ありあり当時の様子を描き、
臭いが立つような大江健三郎の文章がほんとうに好きだった。
足をつっこむとかなんとかいうのじゃなくてね、もうみんな首までとっぷりつかっているのよ。伝統的な文化の 泥 で泥まみれなのよ。簡単に洗うことはできないわ。
「奇妙な仕事」より
長編となると、
どれも癖のある作品ばかりだけれど、
やはりノーベル文学賞受賞のきっかけとなった『万延元年のフットボール』。
あれほど推進力のある後半の展開もそうそうないだろうし、
もうあの深い森を描ける作家はいないのかと思うと
ものすごくさみしい気持ちになる。
これから一時代を築いた巨匠がどんどんなくなっていくと思うと
なんとも辛い。
あと一つどうしても思ってしまうのが、
戦時中を知る作家がどんどん
亡くなってしまうのはなんともな、と。
ひさびさに大江健三郎の本を読もうかなと思う夜でした。
今日はそんな感じで。
かわなみ